声のリハビリテーション

 

横田耳鼻咽喉科医院院長 横田 昌也

緊張の除去

   首や肩に力が入っていると声帯に余分な力がかかります。先ずは全身をリラックスさせることを学んで下さい。始めは寝た状態で体の力を抜いて下さい。次に椅子に座ったり、立った状態やある動作をしたときでも緊張をとれるように練習して下さい。

 

腹式呼吸の練習と発声

   仰向けに寝た状態で、お腹の上に手を置いて、お腹を上下させながら腹式呼吸をする方法をマスターしましょう。

   腹式呼吸に慣れたら、発声のための呼吸法を練習しましょう。できるだけ早く空気を吸い、ゆっくりと空気を吐く呼吸法です。これは実際に話をしたり歌ったりする時の呼吸の状態です。これを腹式呼吸で練習しましょう。また、空気を吸った後吐き出さないで10秒程度息を止めておく呼吸保持という呼吸法も練習しましょう。
   次に、腹式呼吸で息を吐き出す時に、「ハー」と声にならないぐらいの声を出してみましょう。首やのどをリラックスさせて発声して下さい。それに慣れたら、今度は、ゆっくりと腹式呼吸を意識しながら、「ハー」「アー」と声に出して言ってみましょう。この時も首やのどや肩に力が入らないように注意しましょう。
   この発声法に慣れたら、普通の会話の時に、ゆっくり話すことを意識して、話てみましょう。

 

話すときの注意

   大事なことは、お腹から(腹式呼吸で)ゆっくりと、首やのどや肩の力をぬいて発声することです。大きな声はいけませんが、ヒソヒソ声ものどに力が入りますので避けて下さい。また、話しかけられて急に話だそうとすると、車の急発進のように余分な力がかかりますので、ひと息飲み込んでからゆっくりと話し始めて下さい。
 

声帯を傷つける要因

1)乾燥した空気と汚れた空気

   粘膜は乾燥すると傷つき易くなります。乾燥した空気や汚れた空気の場所では声帯はすぐに傷ついてしまいます。ホテルの部屋などは空気が乾燥しやすいので注意して下さい。また、長時間しゃべったり歌ったりすると声帯は乾燥してしまいます。

2)お酒

   お酒を飲むと血管が拡張します。このため粘膜下の内出血を起こし易くなり、ポリープができやすくなります。お酒を飲んだ時はあまり声を出さないようにしましょう。お酒を飲んでたばこを吸いながらカラオケを歌うなんてもってのほかです。

 
自分でできる対処法

うがいについて

   しばらく話をしたり、カラオケを1曲歌を歌ったら、必ず「うがい」をしましょう。これは、のどが乾燥すると、声帯を傷め易いからです。うがい薬を使わなくても水だけのうがいでかまいません。また、ほこりっぽいところに居た時や、外から帰ってきた時は必ずうがいをしましょう。

マスクについて

   乾燥したりほこりっぽい所に行く時は、マスクをしましょう。ほこりを防ぐだけでなく、吐いた息に含まれる水蒸気を再び吸い込むことでのどの乾燥を防ぎます。

 

吸入器について

   最近では、家庭用の吸入器も薬屋さんや電気屋さんで売られています。こういった器械でのどをうるおす事もいいことです。
   1%程度の塩水やその塩水に重曹を1%程度加えたものを吸入して下さい。