「文昇問題 其の一」

ピアノマン

 

映画の宣伝か、何かだったのか、"ピアノマン"の噂を最近TVで聞かない。「記憶喪失の男性が、タキシード姿で、イギリスの海岸に立っていた」というニュースだ。自分の名前も国籍もわからない。ただ、ピアノを弾かすとうまいので、おそらくプロのピアニストであろうという事だ。
しかし、ここで第一の疑問がわく。誰が最初にピアノを弾かしてん? 次に、このニュースは全世界に発信された筈だ。未開の地なら、いざ知らず、タキシードを着るような国の人間が、TVに映っているわけで、普通なら、「あっ、隣りの松っちゃんや!」となり、事件は解決する。という事で、私の結論は、自分の名を明かせない売名行為、あるいは、友達が一人もいない嫌われ者だ。
仮に、私が"ラクゴマン"になるとどうなるか。「記憶を失い、色紋付姿で、熱海の海岸辺りをうろついている」とする。桂三枝や笑福亭鶴瓶などの人気者なら、すぐ身元がわかるが、私の場合はわからないだろう。「落語をする」のを見て、独り言の多い奴だと気味悪がられる。その後、落語をしていると気づかれるが、名人芸ではないので、どこかの落研出身者だと思われる。ニュースにもならず、住所不定者になってしまう。結果、売名行為にもならない。
私の結論、やめておこう。
                                       
<2005・6月>