「文昇問題 其の一」

中国トイレ事情の段

 

初めて中国へ行った。「中国は広島生まれ」のゼンジー北京師匠ではない。中華人民共和国へ2泊3日で行ってきた。笑福亭学光師が毎年ボランティアで行っているのに同行させていただいた。日本を出発したのは15人で、うち噺家は学光、由瓶と私の3人だけ。主な目的は、北京から車を4時間ほど飛ばした所にある河北省の神南小学校へ行って、阿波踊りをすることだった。現地では、小学生だけでなく校長先生、生徒の親、近所の犬も入り乱れて、踊りで盛り上がった。
外国へ行くと、新しい発見がよくある。一番驚いたことは、トイレだ。噂には聞いていたが、学校のトイレは溝を切ってあるだけで、隣りとの仕切りもドアもない。単なる都市伝説ではなく、本当の話だった。さすがに泊まった北京市内のホテルでは、日本と変わらない個室で、もちろん水洗便所になっていた。でも、一つだけ違うことがあった。"トイレットペーパーを便器に流してはいけない"。では、どうするのかというと、横に置いてあるゴミ箱に捨てる。2日間ホテルで同室だった由瓶君は、気を使って、部屋を出てフロント横の一般トイレへ行って、用をたしていた。私に向かって「お兄さんは、思いっきり部屋のトイレでやってください」と言ってくれたが、2泊したその部屋の便器は舐められるほど綺麗なままだった。

                                         <2006・12月>