「文昇問題 其の一」

被写体の段

 

 『るるぶ大阪』という観光ガイドブックがある。ご存知の方も多いだろうが、誌名は「見る」「食べる」「遊ぶ」の末尾からついたそうだ。もう1冊、『徳島グラフ』という雑誌があって、この2冊の共通点を知っている方は、少ないだろう。この夏に発行された物に、なんと、私、桂文昇が載っているのだ。
 『徳島―』は、阿波踊りの特集で、企業連「とくぎん連」の前で踊らせていただいている処。先頭で皆を率いて、連長の様に写っているが、私はただの一兵卒だ。しかも、写真を掲載する事を連絡されていない。まあ、私は人間が大きいので、今回は私が大きく中央で踊っている処だし、何も言わないでおこう。
 『るるぶ―』の方は、正式に取材を受けた。天満天神繁昌亭の案内役ということだ。繁昌亭の舞台や客席、楽屋、お土産売り場等で撮影をしたのだが、難しかった。背景は変わるが、同じポーズ、同じ顔だったような。カメラを向けられると、色々な表情が出来ない。モデルには、とても転職できないと落胆した。不本意ながら、発行された物を見ると、吉本のお笑いコンビのジャルジャルと同じ頁に載っていたりして、娘は競演したと思って、喜んでいる。実際は別撮りだと、事実を知ったら、落胆するだろう。
 皆さんも本屋に行くことがあれば、別に買ってもらわなくても結構ですから、一度立ち読みでもしてください。買ってもらっても、こちらが儲かるわけでもないし。私は、心の広い人間ですから。

                                          <2010・10月>